マイナス50度の自然に魅せられる「旅をする木」

旅をする木 (文春文庫)

 

「旅をする木」

(著)星野道夫
(出版)文春文庫

 

以前オオカミの撮影をするためにアラスカに住むカメラマンを訪ねる旅をした大竹英洋の本を紹介しましたが、彼は文中でアラスカへ旅する動機に少なからず影響を与えた本を紹介していました。

 

それが本書の「旅をする木」です。

 

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カメラマン、アラスカに魅せられる

 

著者の星野道夫は動物写真家として有名で、慶応大学卒業後にカメラマンのアシスタントとして2年間働いたのちにアラスカ大学に入学、その頃から多数の写真集を出版しました。

 

アラスカで写真を撮るうちに、そこに住むアメリカ人やネイティブ・アメリカンとの交流が深まり、その暮らしぶりや自然に魅せられてアラスカに住むことを決断。

 

以来15年以上アラスカでカメラマン兼分筆家として活動しました。

 

しかし、この本が出版された2年後の1996年、テレビの取材のため滞在していたロシアでヒグマに襲われ、43歳という若さでこの世を去りました。

 

本書では星野氏がアラスカでの活動だけでなく、アフリカやガラパゴスなど幅広い地域で活動していた内容がエッセイとしてまとめられています

 

日本では得られない面白さを知ってしまった

 

彼は動機としてアラスカの自然に惹かれたと言及していますが、それ以上に「世界の広さを知ってしまった」ということが彼の活動動機の本質だと思います。

 

今でこそ他国に行くことは容易になりましたが、それでも他国に長期間滞在するということは滅多に体験することではありません。

 

それは自国に地盤を固めてしまって、そこから移動することにリスクを感じるからだと思います。

 

しかし、星野氏に限らず思い切った行動を取れる人は「あ、今の自分の立ち位置よりいい場所があるぞ」という体験や、世界観を大きく揺るがすパラダイムシフトに遭遇した事がある人で、それを経験することで自分の枠を作り変えるのが他の人と比べると簡単なのでしょう。

 

ちなみに星野氏が初めてアラスカの地を踏んだのは16歳の時だったそうです。

 

世界の広さを知るきっかけというのは実はどこにでもあって、それに気づくか否かは自身の気の持ち方にかかっているのだと思います。

 

大人になっても常に面白いことを探している人でありたい

 

「なんか面白いことないかな」と常にアンテナを張っている人には、どんなありきたりな物でも何かしら気づくことがあるかもしれませんし、現状にそこそこ満足していれば日常風景に疑問や好奇心が湧くこともないかもしれません。

 

実際に星野氏のエッセイは他の人では思いつかないような発想や考察が随所にみられて、繊細な思考の持ち主であることが分かります。

 

こういったことに限らず何事も若いうちに経験するのが良いのでしょうが、大人になっても読書をしたり今までやったことのない分野に手を付けてみるだけでも、何かしらの変化はあると思います。

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