盲目だけど世界最高峰犬ぞりレースに参加する「盲目の犬ぞりレーサー」

盲目の犬ぞりレーサー―私に見えるのは可能性だけ

「盲目の犬ぞりレーサー」

 

犬ぞりレースは、国際規模にもなると1600kmを超えるコースを走るレースもあります。

 

以前紹介した本多有香さんの著書にも言及されている通り「ユーコン・クエスト」はその代表格です。

 

犬ぞり世界最高峰レースを制覇した日本人女性の物語
「犬と、走る」 (著)本多有香 (出版)集英社文庫 登山家の植村 直己氏の本を探していた際にAmazonの関連商品の紹介でこの本を見つけました。 みなさんは犬ぞりという言葉を聞いたことがあるでしょうか。 ...

 

そしてそれと双璧をなすレース「アイディタロット・レース」というレースがあります。

 

この本は、一人の少女がアイディタロッド・レースに参加し実際に走るまでの記録をつづった自伝です。

 

少女の名はレイチェル・セドリス。先天的な極度の近視と色覚に不調が発覚しており、そのことが原因で幼少期にひどいいじめを受けていたようです。

 

しかし、彼女の父親がマッシャー(犬ぞり師)だったため、幼いころから犬と触れ合う機会に恵まれ、その繋がりにより社交的な性格に育ち、クロスカントリーや陸上、そして犬ぞりと自身の可能性を広げていきます。

 

最初レイチェルは10kmの初心者レースに参加していきますが、彼女のポテンシャルはとどまるところを知りません。

 

徐々にマイナス数十度の地でキャンプをともなう数百キロのレースに参加するようにもなり、そして最終的に最高峰レース「アイディアロッド・レース」に照準を定めます。

 

しかしお約束といいますか、大会の運営サイドは彼女の参加を拒みます。2年にも及ぶ交渉のすえにレイチェルが参加権を取得するまでのいきさつは読んでいて楽しめました。

 

まぁ正直レイチェルを参加させたことで不慮の事故が発生したとき、大会側が責任を取らされるのは当然なわけで、運営サイトの気持ちが分からないこともないのですが…。

 

しかし、文中でも言及されているとおり大会のルールとは不変であってはならず、ひとつひとつの例外に直面した場合そのたびに検証し、場合によっては特例を認める寛大さも必要であるという姿勢は同感するところです。

 

表紙のキャッチフレーズにもなっている彼女の言葉「わたしは目が見えないからただ座って目が見えない然としていたくない」というのは個人的に耳が痛い言葉です。

 

なにかにつけて言い訳をしてやりたがらないボクにとって「じゃあ目が見えない状況と比べたら、その理由って通用するの?」と聞かれたらぐうの音もでないというのが正直な意見です。

 

といいつつ、彼女の場合の「目が見えない然としていたくない」というのは、可能性があるのにそれを目が見えないからという理由だけでつぶしたくないという意味で言ったのであって、嫌々なにかをやる際に自分を鼓舞するときに言うものではないなと、この感想文を書いていて思いました。

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