逃げるは恥でもないし役に立つ「20代で隠居」

ノンフィクション

20代で隠居 週休5日の快適生活

 

 

東京にベースを置いて生活している著者が、「週休5日」で生活して、それをもとに持論を展開している本です。

 

これまで何冊か隠居またはニートで生きる人物の本を読んだことがありますが、大原偏理氏の「20代で隠居」は比較的マイルドな隠居スタイルを採用しています。

 

多摩区で家賃2万円のアパートに住み、自炊たまに外食、交通集団も自転車を使いつつ電車に乗るなど、あるていど柔軟性を持たせて1ヶ月8万円弱で暮らすという生活です。

 

東京で住んでいるわりに支出が少ないため、介護のアルバイトも週2日に抑えることができ、ストレスの少ないライフスタイルができているようです。

 

しかし、本書を読みながら終始感じたのは、「月8万円で生きるって、ボクもやってたよ」ということです。

 

そう、この本が山小屋生活を紹介した高村友也氏や、ニート生活で有名なpha氏の本とは決定的に違うところは「社会とは距離をとっているけど、別にニートじゃないし、かなり普通な生活スタイルで生きている」ということです。

 

たしかに、ボクが大学生だった頃も、賄いが出る料亭でバイトしていたことも手伝って食費が極端に抑えられ、家賃4万5千円だったにも関わらず、毎月6万円くらいに抑えられました。

 

これはつまり、「あまり仕事をしなくても生きていけるよ」ということです。

 

田舎や実家に住むならば、もっと支出を抑えることはできるでしょう。

 

ボクだけでなく、多くの方がこの事実には気づいているはずです。

 

じゃあなんで多くの人が知っていることなのに、この本は出版に至ったのでしょうか。

 

それは「世間の目を気にしない」という、出来そうで意外と出来ないことについて著者独自の考え方がぶれておらず、そして実践されているからだと思います。

 

著者は周りの人間との距離を取るようにしていると文中で言及しています。

 

往来の性格も関係していると思いますが、これは現代日本人によくある「極端に群れる現象」をいま一度見直させるものだと思います。

 

周りに誰かいることで安心感を得られるという感覚はありますが、その人たちに認められるために同調するあまり、周りの目が気になって自身の行動、自由が制限されてしまうということに繋がりがちです。

 

それが仇になり、「本当はこうしたいのに、周りが許さない」ために私たちは空気を読んでやりたくもない行動を続け、ストレスをためて年4万人の自殺者を生んでいます。

 

これに「隠居」という形で一石を投じたのが本書です。

 

「友達、知り合いなんて数人でいいよ」という割り切ったスタンスで周りとつながり、最初から他人と接点を絶つことで、周りの目を気にすることなく自身の考え方や行動を制限することなく生活しています。

 

農耕民族として生きる前の狩猟採集民族として生きていた日本人の生き方に似ています

 

常に移住することで自信を害するストレスから回避してきた生活スタイルを、アパートに住みながら実現できているのです。

 

うらやましいと思うのはボクだけでないはずです。

 

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