100年生きることを想定した人生計画「ライフ・シフト」

ノンフィクション

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 

21世紀になって食生活の改善や医療の急激な進歩により、ヒトの寿命が飛躍的に伸びました。

 

現在40~50代の年齢の人は90歳以上生きることが当たり前となり、2020年ごろ生まれた赤ちゃんは平均105歳以上生きると推測されています。

 

どうすれば長生きできるか指南する健康本は腐るほど出ていますが、100年人生を想定して人生計画を提案する本はどれほど出版されてきたでしょうか。

 

これは、タイトルのとおり現代人が100年生きることを想定した人生シナリオを紹介して、今後の生き方のアプローチを提案する本です。

 

内容は前提となっているのは、これからは現行の学校→就職→定年引退という3段階のキャリア形成が通用しない、さらに公的機関のサポートはろくに期待できないという、まぁみんな薄々分かっている事実です。

 

たしかに65歳で定年退職して、残りの35年を働かずに貯金や年金だけで生きていけるという印象を現代の若者はもはや持っていません。

 

じっさい、この本では現在20代の若者が仕事を引退するのは80代ごろという驚くべき予想とともに始まり、引退するまでフルタイム遺骸の働き方や様々なステージを経ると予想しています。

 

 

例として複数の違う分野の仕事を請け負う「ポートフォリオ・ワーカー」や、少人数で短期間のビジネスを行う「企業家タイプ」などが挙げられています。

 

 

また、ロボットや人工知能の発展とともに低所得層だけでなく中間管理職の仕事なども取って代わられる未来を想定しています。

 

 

そのため古い知識やスキルを刷新する「移行期間」「エクスプローラー期間」の導入など、これまでの生きたかとは大きく逸脱するプロセスが成り立つと著者は考えています。

 

少し先の未来を想定することすら困難であるため、ましてや50年100年後の未来をこと細かく考えることは不可能に近いため、この本で行われているシミュレーションは限定的な部分がが見受けられます。

 

しかし、100年の人生戦略を考えるという新しいアプローチは今までなかったテーマです。

 

結局のところ素人でもなんとなく分かる通り、80年も何事もなく一つの会社で働き続けることは現実的ではありません。

 

状況に応じて休憩期間を設けて新しい知識やスキルを習得して、自分の体や家族など、お金以外の資産もしっかり育みつつ、長い人生ゆっくり考えて生きてくださいということが言いたかったのではないかと思います。

 

400ページ以上あるため中だるみしそうになりましたが、問題提起として読むぶんには良書であるためオススメです。

 

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