犬ぞり世界最高峰レースを制覇した日本人女性の物語

ノンフィクション

犬と、走る (集英社文庫)

「犬と、走る」

(著)本多有香
(出版)集英社文庫

 

登山家の植村 直己氏の本を探していた際にAmazonの関連商品の紹介でこの本を見つけました。

 

みなさんは犬ぞりという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

 

犬ぞりとは、アラスカなど極端に寒い地域でそりを犬に引かせる移動手段のことで、スノーモビルが普及するまで利用されていました。

 

高緯度に適応できない馬に対してそり犬は寒さにつよく持久力に富み、そのポテンシャルから南極探検にも起用され(現在は禁止されている)、映画「南極大陸物語」などでも有名で、現代でも一部の先住民に利用されています。

 

この本は、そんな犬ぞりに魅せられて単身アラスカに移住し、犬ぞりに人生をささげている日本人女性のエッセイです。

 

この類のエッセイに共通することとして「著者はクレイジー」や「思考がブッ飛んでる」という感想を抱くことです。

 

この本の著者である本田有香さんもご多分に漏れずブッ飛んだ生き方をしています。

 

資金稼ぎのため10月~3月まで日本で働き4月~9月にカナダで犬ぞりに専念するというサイクルを10年以上続け、マッシャーの知識を得るために過酷なハンドラー(犬の世話をする丁稚のようなもの)に4年間も耐えただけでなく、永住権を取得するために偽装結婚しようとしたとも本書で語っています。

 

もうハチャメチャとしか言えない生き方です(笑)

 

文中ではこれらのエピソードが面白おかしく描かれていますが、一見「クレイジー」に見える彼女の生き方も、よく考えると当時の彼女にとって犬ぞりを続けるにはその方法しか無かったのであって、それでもやり通した彼女は至って冷静で正気だとボクには見えます。

 

その行動力と覚悟が常人には到底マネできない内容なので「クレイジー」と形容されているだけで、これまで彼女を支えてきた周りの人もそれをわかっているから、長年彼女をサポートしてきたのだと思います。

 

そして彼女は2012年に犬ぞり最高峰レース、ユーコンクエストに日本人女性として初めて完走を果たします。

 

ユーコンクエストとはカナダユーコン準州とアメリカアラスカ州で毎年2月に開催される犬ぞりの大会のことで、ホワイトホースとフェアバンクスの間1000マイル(1600km)のコースを走ります。

 

1600kmをキャンプしながら進むという想像しがたいレース内容ですが、ゴールした時の達成感は得も言われないものがある事でしょう。

 

この本が出版されたあとも度々インタビューなどに応えているため、定期的に確認していきたいです。

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