翻訳するとき
「そんな言い回し、この言語にはねぇよ」
という瞬間がたびたび訪れます。
最悪の場合、翻訳するときオリジナルから曲げることもある悩ましい問題です。
しかし中には「その手があったか!」という表現を見つけ出して、オリジナルを崩すことなく翻訳されていることがあります。
そんな見事な翻訳がアニメ「賭ケグルイ」の3話で見つかりました。
主人公の蛇喰夢子が生徒会の役員である西洞院百合子を挑発するシーンがあります。
西洞院(にしとういん)を数字にすると2・4・10、つまり6・8がなくて間抜けな名前という煽り方をするのです。
「間が抜けてる、間抜けな名前ってことです!」
コレ、「間抜け」が持つ「あいだが無い」と「アホ」という2つの意味が合わさったダジャレです。
英語で表現できるの?
そんなニッチな表現があるのか?
あったんです。
英語の吹き替えバージョンでは、
“There is a space between them! Just like the empty space between your ears!”
と訳されています。
The space between your ears は直訳すると、「あなたの両耳の間にスペースがある」つまり脳みそがない事を意味して、遠回しに「まぬけ」と言っているのです。
この表現はアメリカなどではよく使われるらしく、Have nothing between ears という言い方で「バカ、一般的な常識が無い」という意味で使われているようです。
これをググってみたところ、英語のサイトがほとんどを占めていることから、日本では知っている人、または使っている人はほとんどいないと言っていいでしょう。
このことからも、英語の吹き替えを担当している翻訳家は日本人ではなくてネイティブスピーカーなのかもしれないと思いました。
むずかしい単語を使っているわけでなく、言われてみれば「あぁそうだよね」って納得できる表現なのに、こういうのが私たちが知らない所でたくさん使われているんですよね。
だからネイティブが小学生でも知っている単語で話しているのに、英語を勉強している人でも意味が分からないという事態が起こるんでしょうね。
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