「ニートの歩き方」
(著)pha
(出版)技術評論社
現代の日本では学校を卒業したら、社会人としてどこかの会社に就職して定年を迎えるまで働き続けなければならないという風潮が、ここ最近変わりつつあるとはいえまだ主流です。
一部では企業や組織というしがらみから抜け出すために起業する、フリーランスとして活躍する、または株式投資やアフィリエイトなどで収入を得て豊かに暮らそう、みたいな流れがあるようですが、「ニートになろう」と堂々と語っている本に出会うという事はほとんどないと思います。
まぁ前回紹介した本の著者しかり、いるにはいるんですけどね…。
この本はphaというニートが書いた「ニートの生態系を詳しく説明した本」です。
この本の著者は京都大学を卒業後に民間の企業に3年ほど勤めていましたが、もうその時点で会社で働くことが苦痛だったらしく、「就職活動の時にできるだけ働かなくてよさそうな企業を選んだが、それでも続けていけるイメージが全くできなかった」と語っています。
そしてニートデビューした後もせどりやアフィリエイト、多発のバイトや友人の手伝いなどで収入を得ているようですが、「これ以上収入を上げるために労力を割かないといけないのが面倒くさい」という結論が出たらしく、月に7~8万円で暮らしています。
生粋のニート体質だと思います。(笑)
しかし、こういった堂々とニートしているタイプの人は相当に自分のことや社会のことについて深く考えていて、「人とは本来どういった風にあるべきなのか」とか「なぜ人は働くのか」など、哲学者に届かんばかりのレベルで考えているように見受けられます。
カネと仕事が無い代わりに悠久の時間を獲得した「時間的裕福層」のなせる芸当なのか、とにかく自身の内面との対話が密なのです。
べつに能力が無いから仕事場からあぶれたとかそういう事では決してなく、もしろ考える能力があって結論が出たらそれをやる実行力があるのだと思います。よってこの場合は「なりたくてニートになったわけじゃない」という悲観的なものではなく、「自分で考えて決断して、ニートになった」という割と前向きな感じの方がしっくりきます。
ひとつ前の記事で紹介した「自作で小屋を作る」の著者である高村友也氏も同じタイプの人だと思います。東大出身にも関わらず、一時期ホームレスをしていたそうで、その理由も「雨風をしのげて生きていけるだけの場所があればそれ以外はいらない」という結論に至ったからだそうです。
周りの雰囲気や習慣にとらわれず、一見すると「イヤそれまずいっしょ、常識的に考えて」と言われそうなことを平気でやってのける、そしてそれを割といい方向に誘導できている両者の世渡り上手感というか、希望的観測に全くマイナスの事態が起こってないような感じがうらやましいです。
オレも働かずに生きてみたい。
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