「寿司修行3ヶ月でミシュランに載った理由」
(著)宇都 裕昭(出版)ポプラ社
むかし、ホリエモンこと堀江貴文氏がツイッターで「寿司職人の10年修行は時間のムダ」と発信したことが話題になりました。当時は堀江氏に対し批判的な意見が多かったですが、その後に一つの寿司屋がミシュランの星を獲得しました。
実際にホリエモンのツイートを体現した鮨屋ができた
お店の名前は「鮨 千陽」。なんとこのお店、包丁を握りはじめて数か月しかたっていない料理人がほとんどお店を切り盛りしているのです。
この本は、それまで料理とは全く関係のない分野で生きていた人たちが料理人になってミシュランを獲得するまでのいきさつと、その戦略について詳しく説明されています。
お店を構えて1年ほどでミシュランを獲得
実は「鮨 千陽」はミシュランの星を獲得するために特化した戦略をとっていたと文中で語っています。
ミシュランの審査員が好む場所に店を構え、審査判定に十分に達する味やサービスの供給、マーケティングに力を入れることにより、計画通りにミシュランに記載されたそうです。
そしてミシュラン獲得の付加価値を得て、それを利用してさらなる集客に成功するという高スパイラルが出来上がったという訳です。
職歴はバラバラでも修業期間は3ヶ月
この時点で驚きに値するものの、それ以上に興味をそそられるのは、お店で働いている職人さんたちです。
彼らは数か月前まで全くの飲食業未経験者であったにもかかわらず、通常10年ほどの下積みを重ねて得られる技術を、数か月間料理学校に通っただけで習得するに至ったのです。
料理学校の名前は「飲食人大学」
この料理学校のカリキュラムはとにかく実践に特化されたもので、なんと受講期間が3ヶ月だけなのです。そして3か月の受講期間を修了した生徒たちが「鮨 千陽」に配属されて腕を振るうのです。
もちろん学校の授業だけでなく、個人の努力により成功した部分もあると思いますが、徹底的に効率的かつ実践主義的に取り組んだことによる部分も大きく成功に貢献したことでしょう。
料理に著作権は無い、パクッてなんぼ
また情報社会である現代だからこそ料理の味が向上したと著者は語っています。
いままでの料理屋は身内に対しても閉鎖的で、弟子に早い段階でその店の味のノウハウを教えるようなことはせず、何年か修業期間を経てから教えたり、「先輩や親方の技を見て盗む」といったスタンスを徹底していました。
しかし現代はネットで検索すればそういった情報が詳しく調べられるようになりました。
「飲食人大学」も「飲食業はググって、パクってなんぼ」という姿勢を重視することにより一流の味を表現できるようになったとのことです。
10年の厳しい修行時代をわずか3ヶ月で終わらせられる、私たち社会人も「3年間は頑張って会社にしがみつけ」みたいな暗黙のルールに縛られなくてもいいんじゃないか?
…と思ってしまったりします。
コメント