ヘンリーフォードが語る「従業員の在り方」と「1日8時間労働」の真意とは

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「蓑のハンドル」

(著)ヘンリー・フォード

(出版)中公文庫

 

アメリカの自動車王、ヘンリーフォードが「会社・経営とはなにか」という持論を展開させたビジネス本です。

 

ヘンリーフォードは、当時とても高価な乗り物だった自動車を独自の技術で改良、フォード会社設立した後にフォード・モデルTという大衆車を発売したことで大ヒットし、前述のとおり「自動車王」と呼ばれるほどに有名になり、現代でも「Ford」のロゴはよく見かけます。

 

かれは自動車の販売で成功しましたが、ほかにもライン生産による大量生産方式の導入、ピラミッド型会社組織構造、一日8時間労働システムの実施など、私たちが働いている会社の礎となっている発想の多くの導入を促した人物です。

 

昔から「だれが一日8時間労働なんて決めたんだろう」と思っていましたが、本の著者紹介の項目を読んでいたら、

 

「お前か!!!」

 

と思わず叫んでしまいました。

 

印象に残ったヘンリー・フォードの経営理念に「第一に従業員の事を考える」と言うものが挙げられます。

 

彼は自分のもとで働く人を従業員と捉えると同時に消費者とも考えています。そのためその従業員(消費者たち)の日給を当時の平均の2倍払うという行動に出て、世界を驚かせました。

 

高い賃金を支払う事で従業員のやる気を上げるという事はもちろんのこと、その金で自社のクルマの購入も促していたのです。

 

彼が一日8時間労働を決行したのも、「8時間が1日の3分の1だからでなくて、見ているとこの時間が、人が最大限のサービスを提供できると判断したから」だそうです。

 

悲しいかな、私たちはヘンリー・フォードの「なんとなく」を100年も忠実に守り続けて、今も8時間働かされているのです

 

といっても、当時はブラックどころか住み込みとか半分奴隷みたいな感じで働かされるところが多かったことを考えると、8時間はたらいて他の時間は自由にしていい(クルマを買ってレジャーとかが望ましい)ということを考えるとまだマシなのかなとも思えます。

 

たしかに彼の経営理念は現代社会でも通じるところが多々あり、「この考え方は役に立つかもしれない」と思う事もあります。

 

でも逆に言うと、それは「現代社会がまだ100年前の段階から抜け切れていない」とも言えます。

 

当時は今と比べると生きていくうえで不安要素はたくさんあり、寄る辺を求めていた風潮でした。

 

でも現代はロボット生産技術も当時と比べるべくもないくらい発達していて、治安は良くなり物価も下がる一方です。

 

こういった多様性にあふれ、恵まれた時代に私たちは暮らしているのに、いまだに会社という場所に安全性を求めているのです。

 

まだヘンリー・フォードが生きていたら、おそらく彼はこう言うでしょう。

 

「1日だいたい3時間くらいでいくね?」

 

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